ベルーガ

世界で最も奇妙な外観の飛行機の1つである欧州航空機大手エアバスの「A300−600ST」は、見た目がシロイルカによく似ていることから「ベルーガ」の愛称で知られている。しかし、見た目が独特なだけではない。「ベルーガ」は欧州の航空機製造において非常に重要な役割を担っている。

エアバスはかつて欧州各国の航空機メーカーのコンソーシアムだったことから生産拠点がヨーロッパ大陸中に点在しており、各工場がそれぞれ異なる機体部品を製造している。全5機の「ベルーガ」はいずれもエアバスが運営し、各工場で製造された旅客機の部品をフランスのトゥールーズやドイツのハンブルクにある工場の最終組み立てラインに輸送している。

エアバスは1990年代半ばまで、大型部品の輸送に同社のライバルであるボーイングの輸送機「C−97」を改造した「スーパーグッピー」を使用していた。しかし、「スーパーグッピー」はエアバスが導入した時にはすでに時代遅れだった感が否めない。そして、エアバスは事業の急成長に対応するためにはより優れた輸送機が必要との結論に至った。

新輸送機の機体にはすでにルフトハンザやエールフランスアメリカン航空などの航空会社で実績のあった「A300−600」の機体が採用され、現在運用されている5機のベルーガは、「A300−600」を輸送用に改造したものである。

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